2018年06月21日

怖くなりそうな小説3117

 ここは、夢の中だろうか。現実だろうか。気が付いたとき私はベッドの上にいたのだけれど、でも何か違和感があった。というより、きっと夢の中にいるのだという感覚があった。気づいた瞬間は、周りがあまりにも本物らしかったから、現実なのかと思ったけれど、しばらくしたらすぐに分かった。周りではなく、私の方が違いすぎていたのだ。外観ではなく、私の中身が。あれだけいろんな不安でいっぱいだったのに、今はなぜかその不安が少しもない。笑おうという気持ちになるわけではないのだけれど、なんだかすっきりとしていて、楽しい気持ちになっている。いや、楽しいというのも違うかもしれない。ただ、生きていることが嬉しいというか。いろんなものに感謝がしたくなる気持ちというか。現実ではそんな気持ちになったことがない。いつも不安ばかりだ。楽しいことがあった時でさえ、楽しんでいるときでさえ、いろんなことが不安になる。それなのに今は、そんな不安が全くない。あぁ、ずっとこのままだったらいいのに、と私は思う。このまま、目が覚めてもこのままだったら。でも目が覚めると必ず現実というものにぶつかって、このままではいられなくなってしまう。だったら、目が覚めなければいいのに、と一瞬そう思って、首を振る。それも嫌だ。怖い。目が覚めなかったら、ということ以上に、一瞬でもそれを望んでしまった自分がとても怖い。もしかしてこれは、自分の心の奥底の願望だったりしないだろうか。だとしたら、絶対に抑えなければならない。
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2018年06月20日

怖くなりそうな小説3116

 そんなふうに思ってから、私は何を考えているのだろう、と思う。実際のところ、何を考えればいいのか分からない。考えるべきことはたくさんあるはずに、まともに思考が働かない。私は普段どおりすごそうとする。いつもと同じことの繰り返しだけれど、そうしていると安心する。何も変わらないような気がして。本当はいろんなものが変わっていっているのに。逃げているということなのかもしれないけれど、でもそれでもいいと思ってしまう。心を落ち着けたい。不安から逃げたい。だから毎日同じように過ごしているのかもしれない。自分が何者かなんて、そんなこと考えなくても生きていけるのだ。今までと同じことを繰り返していれば。何かを失ったとしても、それが自分の生活に影響するものでない限り、何も変わらない。そうしたものを失うことに怯える必要はない。それがどんなに大切なものだったとしても、自分の生活に影響がないのなら、怖がる必要はないのだ。そして、私が何者かなんていうのは、自分の生活にたいして影響はない。自分が何者であっても、今まで通り普通に働いていたら、生きていける。機会みたいに同じことを繰り返していたって生きていける。意味なんて見出そうとしなくても生きてける。だからそれでいいのだ。そうして生きていけばいいのだ。私はいつの間にか、ベッドの上に横になっていた。きっと体がいつもの習慣に合わせて勝手に動いてくれたのだろう。私はそのまま、目を閉じた。
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2018年06月19日

怖くなりそうな小説3115

 思い出そうとしたけれど、霧がかかったみたいにぼんやりとして思い出せない。ということは、覚えていないだけで、この顔が本当の私の顔だったりするのだろうか。ふと思いついて、私は部屋に戻り、周りを見回してみたけれど、写真などはどこにも置いていなかった。少し考えて私は、ふぅ、とため息をつく。そうすると体の中から何かが抜けて言ったみたいに感じて、そして少し気持ちが落ち着いた。とりあえず今すべきことを。といっても、お腹がすいているからご飯を食べようというくらいのことしかない。改めて、それくらい何もしていない生活なのだと私は思った。何かすべきことを見つけなくては、生きている意味を見出さなければ。そんなふうに思ってから、私は自分が何度もそんなことを思っていたのだということを思い出す。私はいったい何者なのだろう。朝起きて会社に行って仕事をして帰ってきて、ほとんど一日の行動を終えた上で、それでも自分が何者なのか分からなかったということなのだ。何者か分からないまま普通に一日を生きていたということなのだ。まるで、人間ではない、何かの生き物のようだと思った。ただ生きているだけの存在。何かのためというわけではなく、生きるために生きているという存在。私は何なのだろう。それでいいのだろうか。いや、いいかどうかという問題でもないのかもしれない。結局どのように生きたところで所詮意味なんてないのかもしれない。きっと、人間に限らず生き物の存在なんてそういうものなのだ。
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