2017年01月17日

怖くなりそうな小説2597

 確かに霊の気配を以前から感じているとはいえ、こういうのは初めてだった。一体何なのだろう。誰かいるのだろうか。でも、ここに人が来るはずがない。いや、来ることはあったとしても勝手に入ることなんてできない。合鍵は親にさえ渡していないのだ。となると、泥棒だろうか。でも、気配は確かにするけれど、ドアのノブを回してみると、ドアはしかし閉まっている。まぁでも考えてみればそうかもしれない。ドアの鍵を開ける音で僕が帰ってくるのを感知し、逃げるなり隠れるなりする気なのかもしれない。恐る恐る、僕は、部屋に入った。電気は消えている。つけて足もとを見ると、靴が乱れていた。怖くなって部屋を見ると。男が倒れていた。しばらく怖くて動けなかったけれど、そのまま見ていても男は動き始める様子もなく倒れている。僕はゆっくりと近づく。やはり動かない。もう生きていないのだろうか。でも。顔を覗き込むと、知らない顔だった。ただ、泥棒のようには見えない。もっとも泥棒が泥棒らしい服装をしているなんてことはないかもしれないけれど、見た感じでは普通のサラリーマンだった。歳をとっているようで、50代くらいに見える。誰だろう。いや、それよりもその前に。僕は恐る恐る男の口元に手を持っていく。息をしているかどうか確認しようとしたのだ。生きていることを願ったけれど、手のひらに息の感じはなかった。でも、気のせいかもしれない。僕はとりあえず救急車を呼ぶことにした。
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2017年01月16日

怖くなりそうな小説2596

 そもそも慣れてきたというだけで、状況が改善されたわけではないのだ。現に、部屋に入るときにちょっと憂鬱な気分になったりするのだから。それが改善できるなら、それに越したことはない。でも、幽霊でないのだとしたら、一体何なのだろう。あの男が指摘したのは、精神的なもの、そして誰かが仕組んでいる、というものの2つだった。まず一つ目は自分でも考えたことがある。でも、実際に病院に行ってみてもらったわけではないから、見てもらった方がいいかもしれない。そして、2つ目は、さすがに違うと思うのだけれど、でも、例えばこの辺りに流れている電波が何か僕の脳に悪影響をしているのではないかということだって考えられるかもしれない。ただ、男があんなふうに話したのは、男も何か僕の部屋のあの場所に何かがあると思っているからなのだ。だからこそ、自分の思いを否定したくて、あんなふうに言ったのだ。でなければ、少なくとも、また来てくださいとは言わないだろう。それなら、まず電波か何かが影響している、ということを考えるしかないのだけれど。でもそんなことどうやって調べればいいのだろう。それなりの設備が必要なのだとしたらお金がかかりそうだけれど、改善したいとはいえ、慣れてきているのだからあまりに高い出費は避けたい。知り合いにもそのようなことに詳しい人間は思い当たらない。と、そんなことを考えながら部屋についたとき。僕は、部屋の中に誰かがいる気配を感じたのだった。
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2017年01月15日

怖くなりそうな小説2595

 きっと男も幽霊を信じているのだろう。だからそう思って、僕はうなずいたのだけれど、そうすると男は、むしろそれを否定したいかのように、幽霊なんているはずがないでしょう、と言った。そして独り言のように、そんなものいていいはずがない、いるわけがない、と言う。でも、と僕が言いかけると、男は手を開いてこちらに向け、分かっています、幽霊がいるとしか思えない現象が起こっているのでしょう、と言った。僕がうなずくと、しかし他の何かが原因だとは考えられませんか、と言った。他の何か?と聞き返すと、ええ、例えば、単なる精神的なもの、ストレスだとか、あるいは誰かがあなたを追い詰めようとしてそんなふうに思わせている、等というようなことに何か思い当たりませんか、と続けた。それはないと思いますが、と言ったけれど、考えてみてください、それからまた来てください、と言い、男は立ち上がった。でも僕が知りたいのは、と言いかけると、どちらにせよ相手が幽霊なのだとしたら我々警察には何もできませんから、と言ってドアの方に歩いていく。結局僕は何も情報を得ることができないまま警察を出ることになった。帰り道、ぼんやりと僕は考える。あの警官はきっと僕が助けを求めているのだと思っていたのだろう、そうではなくて、僕は過去に何があったのか知りたいだけだった。でも。確かにあの男の言うように、幽霊ではない可能性だって、十分にあるはずなのだ。もう少し、考えてみた方がいいかもしれない。
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