2017年01月12日

怖くなりそうな小説2592

 まず最初にしたのは、マンションを買ったときの不動産屋に話を聞くことだった。直接お店に行って担当してくれた人を呼び出すと、新しい仕事の話だと思ったのか最初はにこやかな顔でやってきたのに、僕が話を始めると、途端に顔を曇らせた。ただ、マンションが立つ前にそこで何があったかについては、言葉を濁すばかりで何も教えてくれなかった。腹が立ったけれど埒が明かないので、もういいです、と言って出ていこうとすると、気にしない方がいいですよ、と後ろから声をかけられた。でも僕は振り返らずに出て行った。とにかく、あんなふうな対応をする以上、何かがあったことには間違いがないのだ。そしてその秘密は、意外とあっさりと分かった。マンションの近所に住んでいる老人が、もしかしたら何か知っているかもしれないと思って話を聞いてみると、あっさりと教えてくれたのだ。その老人によると、この近所で自殺と思われる事件が二つも起こっていたらしい。最初は、今はすでに取り壊されたけれどマンションのすぐ側にある家で、女性が自殺をした、それからしばらくして、今度は、まさにマンションの僕の部屋の辺りにあった家で、男が亡くなった、という。男は発見されるのが遅く、原因ははっきりしないが、おそらく拒食による自殺だったということらしい。老人はその二人とはあまり話したことはないけれど顔くらいは知っている、顔を合わせると挨拶くらいはしたが二人とも暗い人間だった、というのだった。
posted by TARE at 00:38| Comment(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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